「本当にやるのかい?」
「今更何言ってるんだ、スザク。それについてはこれまで何度も話し合ってきただろう?」

「あぁ…分かってる。でも…」

ルルーシュは少し呆れた様な顔をして、でも優しい笑顔で微笑む。

「俺は…この世界がナナリーやスザク…誰にでも優しい世界になって欲しいんだ。」
「うん…」

フッと笑って僕の頬をルルーシュが両手で優しく包む。

「スザク…お前の仇は居なくなる。もう縛られずに未来を見て歩く事が出来るんだ。」

そうそれはスザクにとって、決して優しいだけではないだろう。
自分の生を失う辛さは俺がよく知っているから。

それでも…スザクと共にありたいと俺は願った。

「それでもッ…やっぱり僕の前から誰かが居なくなるなんて…それも君が…世界の為になんて…」
「俺を見ろ。」

俯くスザクの顔を上げさせる。

「大丈夫。スザク、お前なら出来る。否、お前でなければ駄目なんだ。」

ルルーシュは辛そうに眉を寄せ瞳を伏せる。

「頼む…ユフィやナナリーそして俺の為に…沢山の人を犠牲にした…彼等が報われる為にも…」

分かってるんだ。君が一度言い出したら絶対に意見を変えない頑固者だって。
本当は誰よりも優しくて…強がりばっかだけど誰よりも寂しがり屋だって…


知ってるから…


覚悟を決めた君を僕が止められるはずも無いんだ…

「ルルーシュ…今日だけは僕に甘えて?最後に我が儘いっぱい聞くから。」

少し驚いた様な顔をして少し照れながら君は綺麗に笑ったね。

「最後の晩餐のデザートはプリンがいいな。」
「もちろん苺も乗せておくよ。」

だから僕の方が涙を溢れさせてしまったんだ。

僕の最も憎むべき存在で…最も愛した唯一無二の大切な存在…

君は優しく俺の頬から涙拭いそっと口づけをしてくれたね。
まるで僕の方が甘やかされるみたいだ…

「スザク…これからは俺と一緒だ。」

あぁ…これはきっと甘い呪縛なんだ。
君と僕は1人になるんだから…

「心強いや。君と僕、二人が一緒なら出来ない事なんて無いからね。」

折れそうな細い背中を力いっぱい抱きしめた。



愛してる…



胸に想いを秘めて。


end. スザルル1