小さい頃からでかかった訳では無いが気付くと背の高さが目立つ様になった。
「ジノ。ぼさっとしてないで早く来い。」
「ルルーシュ〜待って!」
今日は珍しくルルーシュと二人でデート。なんて言ったらルルーシュは顔を赤くして怒るだろうか。
仕事のオフがもらえた為、以前から約束していた映画を観に映画館にやってきたのだ。
私からすれば十分にデートだと思うが素直じゃない恋人を持つと苦労する。
「うわッ!?」
階段で躓いたルルーシュが態勢を崩す。
慌ててルルーシュの手を掴む。
「ほら。危ないから。」
「すまない…」
ルルーシュはしっかりしてるくせに抜けてる。
寂しがり屋なのに強がり。
でもそんな全てが愛しい。
「映画始まるぜ。」
君の一歩前。
階段の一段下が私の定位置。
ほら…
振り向けばそこに君の顔がある。
「分かってる。」
繋いだ手からルルーシュの体温が上がるのが分かる。
意識してくれてんだな。
自然と笑みが零れる。
「なぁお礼のキスは?」
「なッ!何を馬鹿な事を!」
幸い階段に人通りは無い。
顔を真っ赤にして周りを見渡したルルーシュ。
「と、特別だからな!」
それでも私の口唇にキスをくれた。
「ありがと。ルルーシュ。」
お礼にキスを深くした私に目を白黒させて必死に抵抗するルルーシュ。
「ば、馬鹿ッ!!!」
「あぁ〜待ってよ、ルルーシュ。」
階段を逆に上り初めたルルーシュ。
「映画館はこっちだろ。」
「分かっている!」
振り返るルルーシュの顔はやっぱり赤くて…
「ごめん。ちょっと刺激が強すぎたか?」
「いちいち口に出すな!馬鹿ジノ!」
そんなルルーシュの手を引いて胸で受け止める。
「お詫びにディナーで行きつけの店の新作デザートご馳走するから。」
「そ、そんなものに釣られたりするものか!」
「いいのか?あそこの苺を使ったデザートはどれも逸品だからなぁ。ルルーシュに食べてもらいたかったんだけどなぁ。」
ルルーシュが胸に顔を埋めてう〜と唸った後、顔を上げる。
「食べないとは言ってない。決して許したわけじゃないからな。」
「はいはい。分かりました。」
同じ目線もいいけど…
でも…やっぱり見上げられる方が好きかも。
今日も星が綺麗に夜空で瞬いていた。