俺も自分が背が低いと感じた事は無い。
寧ろ平均位だろう。
「ルルーシュ?」
前を歩くジノが立ち止まるルルーシュの名前を呼ぶ。
「何でもない。」
ルルーシュは首を振ると先で待つジノの元へ急ぐ。
「そぉか?何か考え事してるだろ。眉間に皺寄ってるぜ?」
ジノがルルーシュの眉間を指で解すように触る。
「なッ!」
「これ位で照れないでよ〜。」
ジノは顔を赤くしたルルーシュを見て苦笑した。
「べ、別に照れてなんかいない。」
「まぁそこも可愛いんだけどな。」
ジノが笑いながらルルーシュを後ろから抱きしめる。
「馬鹿。」
自分よりも頭一つ飛び抜けた身長。
すっぽり抱きしめられてしまうのは男として悔しい。
「ルルーシュ、ひょっとしてまた痩せた?」
「まったく…身体測定じゃないんだぞ。」
文句を言いながらルルーシュはジノを見上げた。
でも…ジノに抱きしめられるのは嫌いじゃない。
まるで暖かい日だまりに包まれているみたいだ。
刺々した気持ちもやんわりと解れていくから不思議だ。
「それは名案だ。これからは私が毎日ルルーシュの身体測定をしよう。」
太陽の陽を浴びて金色に輝く髪の毛。
空を映した様なスカイブルーの瞳。
優しく微笑うジノの顔も好きだ。
でも悔しいから言ってやらない。
「馬〜鹿。やれるものならな。」
くすッとルルーシュが笑う。
歩き出したルルーシュをジノが慌てて追い掛ける。
「待って。」
掴まれた手は自然に繋がれる。
ルルーシュは隣を歩くジノを見上げる。
君の隣で上を向いて歩こう。
今日も快晴。空が蒼かった。
end.